そぷらの なめらかに愛しげに歌う声の中に広がる…草の海、はるかな星の空。暖かい誰かへの想いをまろやかな光のかたまりに換えて、 ふわりと宙へ放つような…やわらぐ響き。 ちかり…と音をたてる大きなゴブレットの中の氷たち。 布のコースターを二つ、盆の上に置き、もわもわと濃度のちがう液体が和合しようとして作る景色を とじこめたゴブレットをその上にのせて…。 台所、廊下、今はどこのふすまも広縁のガラス戸もあけはなったこの家は、やっと梅雨を追いやった夏の訪れを、セミの声と、 それを更に鮮明にする陽射しとで知らされている。 高耶の勉強部屋にしている次の間をぬけて広縁に。 寝ござの上に横たわって、シャワーのあとのまどろみを楽しんでいる、いささか行儀の悪い脚をつん、とつつき。 「15年ものですよ。 梅酒とはいえ奥行きのある味になっています」 かちん、と乾杯。 前期テストの終了、おめでとう!
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