デキちゃった…。デキちゃいましたよ!みなさん!!(笑)瓢箪から駒というか、焼けぼっくいに火というか。
一年前のメールのやりとりを言質にとって海さんとお互い煽りあっているうちに、なぜか当日夜の話まで!
ちなみに海さんは翌朝編を担当してくださいました。「FALLEN ANGELS」圧巻です!!今すぐ海さん宅「とるすのびっくり箱」へどうぞ。
しなやかでしたたかなこれぞ真打ち葛川蛍!といったケイちゃんと、そのケイちゃんでさえ見惚れるほどのオトナノオトコである連城響生が
これでもかっ!!というぐらい読み手を翻弄してくれます。…というか、されました。私(笑)同じキャラ書いてなんでここまで違うかな?(嘆息)
とは、もう虚しいから脇に置いておくとして。以下に続くのは海さんの「VACATION」のパロパロ第二弾、拙作「SARAYCAT」の前夜にあたります。
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まるで雲の上にいるみたいだった。 たらふく食べて、酒量はほどほど……そんなカシコイ飲み方をしたつもりだったのに、それでも酔いはまわるものらしい。 店を出るまではそうでもなかった。途中のタクシーの中でだってしゃんとしていられた。 それが、この部屋に帰り着いたとたんに急に腰が立たなくなったのは、それだけ気が緩んだということなのだろうか。
「……どうも」
ソファにもたれパタパタと手団扇で風をおくっているケイに、響生が笑いながら冷えたペットボトルを手渡してくれた。
いつのまにか、響生の姿が消えていた。 オレは…ここに居てもいいんだよな?あんたの傍に。 こんなふうになったのは……あんたにとっても予定調和?それとも、ただの成り行き?
連城?
冷えた頬のすぐ傍まで温かさが近付いている。 ケイ?眠ったのか?柔らかく囁かれる。
キスが欲しい。唐突にそう思う。
望みどおりに唇が降りてくる。二度三度と触れられる。 「……んっ!」 ようやく解放された時はすでに眠気は吹っ飛んでしまっていた。 「すんの?」 「イヤか?」 「…………」 すぐに返事は返せなかった。
……いやじゃない。いやじゃないけど……、あの激痛を伴う交合はもう遠慮したいというのがほんとのところ。今の正直な気持ち。
……でもそれ以上に。あんたを落胆させたくない。
でも、そんなあまいもんじゃないんだな。
母さんのときはこんな思いはしなかった。
「……っ!」 心のうちを見透かされたようで、ケイの面に朱がさした。 「もう歩けるか?……平気なようだったら一風呂浴びてくるといい。おまえを欲しいのは本当だが、抱き壊すつもりはない。したくないんだったら、声をかけずに休めばいい」
そう云って、おやすみも言わずに消えてしまう。寝室ではなく書斎の方に。
ほっとしていいはずなのに、だんだん腹が立ってきた。
揺れる感情が制御できない。恋するオトメのような逡巡が一気に怒りにすりかわる。
「ケイ?」 憤然として睨まれて、一瞬わけが解らなかった。 「優しそうなふりして、気遣うふりして、結局最後はオレに決めさせるんだ。自分だけ傷つかないとこいて……そうやって、今までオンナとも別れてきたんだろ」 指を突きつけられ、やけに据わった瞳で糾弾される。それもかなり見当違いな。 まだ酔っているのか?こいつ?
そう納得してしまえば、この今の状況もなかなか面白いものだと、内心で響生が呟く。 「妬いているのか?」 「んなわけあるかっ!」 「じゃあ、なんなんだ?」
解るように説明してみろ……そんなふうに促している、静謐を湛えた感情の読めない瞳。 「ケイ……何をそんなに怒っている?」 重ねて問われて居たたまれなくなった。……否応なく気づかされる。自分が腹を立てていた、その本当の理由に。 「もういいよっ!おやすみっっ!」 そっぽを向いてきびすを返した、その腕を掴まれた。 「ちっともよくない。何が不満だ。ケイ?」
言えるわけがない。 「あの場で押し倒してしまわなかったことを怒っているのか?」 図星を指されて心臓が跳ね上がった。 「もういいんだってばっ!」 振りほどこうとあがく。 「俺は欲しいと言った。でもおまえがあんな辛そうな表情をするから……。本当に負担なのかと思ったんだ。それのどこが気に入らない?強姦まがいの味を占めたわけじゃないだろう?」 「そんなわけあるかっ!」
再びアタマに血が上る。 「じゃあなんなんだ?俺はどうすればいい?」
もう一度、今度は柔らかく訊ねられて、ついその声音に聞き惚れた。まるでマタタビに酔う猫みたいに。甘い麻薬に。 「……ただ一緒に寝てほしかった」
気がつけば、本音が口をついていた。 「したくないわけじゃない。あんたが欲しい。……でも、もう痛いのはイヤなんだ。勝手なのは解ってるけど……あんたの傍で眠るだけじゃダメか?」
本当の希み。 ふっと響生の表情がやわらいだ。 「そうやっておまえに言われたら断われるわけがないだろう?」
おまえの望むままに―――
囁かれて気が遠くなる。 「でも焦らされるのはイヤなんだな?」 勃ちあがったものを掌に包まれる。扱かれて思わず喘いだ。 「……指ならいいか?ひどいことはしないから」
冷やっこくてぬるりとしたものが滑り込む。昨日までは意識することもできなかった自分の身体の内側へ。 「そのまま眼を閉じて。ただ感じていればいい。好きなだけ」 「うん…」
揶揄するでなく煽るのでもない、けれんのない響生の心情。 「っ……はっ!あ……」
息を継ごうとして思わず洩らした悲鳴のような喘ぎ。 「……くぅ…っ」
堪えようとそこに意識が集中してる間に、今度は後ろを探られる。 「―――――っ!」 濡れた指先で深く突き上げられ小刻みな振動を送られて、ケイはもう何も考えられなくなった。
早すぎる絶頂を羞じるゆとりもなく弓なりに硬直して射精する。 反動でひらりと跳ねる寝具が眼の端をかすめる。…まるで砕け散る海の泡のような、白。 ……海に抱かれているみたいだ……放出の余韻はそのままケイを幻視へと誘う。
砕ける波頭とその飛沫がまなうらに視えた。 そこでしげしげと自分を見つめていたらしい響生と至近距離で目があった。 「よかったか?」 「うん……」 取り繕う余裕なんてない。だから、素直に口にした。 「すっげー…気持ちよかった…」 「…それはなにより」
覗き込む響生の顔に曰く言い難い表情が浮んで消え、こめかみにキスを落とされる。 ……なんだ。思ったままを口にしていいんだ。構える必要なんてなかったんだ……。 心までもが浮遊する。勝手に溶けて流れ出していく。 「……連城?」 「なんだ?」 「好きだよ」 「……おまえ、まだ酔っているのか?」
呆れたような響生の口調。 うん。酔ってる。あんたの存在に。あんたのくれるものに。だから……あんたにもオレを感じてほしい……
頭を引き寄せ響生の髪に指を絡ませて、自分からその唇に触れた。 ……身体中が蕩けだすみたいにキモチイイ……。でもあんたは? あんたもオレに感じてくれてる?
ケイの手がそろりと伸びた。響生のそれに。探り当てた手応えに唇の端がつり上がる。
その淫蕩な表情の変化に響生が息を呑んだのをケイは知らない。
先程与えられた刺激を忠実になぞって響生の欲望を育てていく。やわやわと。ゆるゆると。 口に含んだらどんなだろう?やっぱり潮の味がするのだろうか。
確かめたくて顔を近付けようとしたそのとき、それまでされるままでいた響生に突き飛ばされる勢いでベッドに引き戻された。
不意に前立腺を突かれて、ケイの動きが一瞬とまる。 「…ぁ…ああああっ!」 再び全身を貫く甘美な痺れ。波打つ腰と同じリズムで迸りを撒き散らす。 「ケイ…ケイっ!…」
飛びかけた意識を、切迫した声が引き止めた。
一瞬とも永劫とも思えた時間のはてに、苦悶と見紛うその貌に恍惚がよぎって、ケイは自分の身体に降りかかる響生の飛沫を感じていた。
……濡れて密着した皮膚と皮膚とがまるで粘膜にでもなったみたいだ。
ひとつにはならなかったけど……今、ひとつに繋がっている。抱きしめられて包んで包まれている。
まるで声が聞えたみたいに響生が身じろいで体を入れ替えてくれた。 ――……。 響生がなにか話し掛けてくる。 だがすでにケイの意識は再び眠りの淵へと彷徨いはじめていた。
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