――…お、おう。
穏やかな深みのある声。ありきたりの挨拶でさえ、なぜだか胸がざわめいた。 ――来週の水曜日、お時間をいただけますか? ――来週……って? (え?)
カレンダーをめくりながら確認した日付に、高耶は危うく洩れそうになった疑問符を飲み込んだ。
――先の件で霊査報告がはいりました。あなたにも含んでいただきたいことです。 こちらを優先させてくれという、無言の威圧。 ――あ……いや、それは大丈夫。……けど、いいのか。おまえの方こそ。 ――なにがです? ――ううん。なんでもない。じゃ、三日だな? それとなく、日にちを口にした。相手の反応を窺うために。 ――はい。午後には伺います。 ――わかった。じゃ……待ってる。
目には見えないのに、なぜか受話器の向こうで嬉しそうに微笑う直江の顔が頭に浮んだ。 (なんだよ……あいつ、気づいてねーのか?自分の誕生日だってこと) (なにかプレゼント用意しなくちゃな……) わけもなく赤らんだ頬がひたすら熱かった。
そして物語は、未来へ続く。 イラスト あきやまさんちのエイタより転載
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そして。前振りしたんだから、後日談もつけたいよね…とは管理人のささやかな願望であります(笑)
去年の五月我が家に流行った性悪な風邪のせいで挫折したままだったのです。