とてもおおざっぱなあらすじ




 上杉景虎の今生の姿、仰木高耶は、義父謙信の命で、かつての義兄弟・上杉景勝だった者、実は人の器を得た弥勒を監視するため、彼の今のかたち成田譲のいる松本へやってきた。
 しかし、譲の親友・橘義明は、30年前の宿敵・織田信長との戦いで行方不明になっていた後見人・直江信綱の換生者だった。
 探し続けてきた「直江」が、景勝=譲の傍らにいたという衝撃から、高耶は、記憶を失って橘義明として生きている少年を臣に戻らせようとする。

  高慢な目の「元・主君」に猛反発しながらも、その力(<力>を含め、行動力、知力の全て)に憧れを感じる義明。
 苦しみに満ちた日々を思い出させたくない、と思いながらも、再会した「直江」を離したくない高耶は、変わらぬ彼の性格をあおって夜叉衆に引き戻す。

 「橘義明」を知るうちに、彼を見守り導くことで新たな絆を作ることを夢見た高耶だったが、彼に惹かれるとともに自分の中に肥大していく「欲」に気付き、愕然とする。
 それは彼が初生で受けた心の傷を押し開く「欲」だった。
 苦悩の中、高耶はもう一つの危険にも気付く。
 大人びた目をしていても、純粋で潔癖な少年の「今の直江」が、自分の「前の生」で犯した罪に相対したとしたら――。彼は耐えられるのだろうか?

 義明は甦りはじめた記憶のかけら、そして高耶に執着を感じる自分に戸惑いながらも、彼がときおり見せる苦しげな瞳に心をとらわれ、共に戦う。
 しかし、記憶を封じたままの戦闘は、義明=直江の魂の力をすり減らせていく。

 彼をもう解放しなくては、と戦列からはずし、自ら暗示で今生の自分とのことを封じる高耶。
 だが復活しはじめていた「直江」の記憶の刺激を受けて、その暗示を解いた義明は、高耶を追い、再び、織田と反・織田の連合軍の決戦が始まろうとしている阿蘇へ向かう。
 (このあたり、「火輪〜」をベースに、エピソードを置き換えて)

  織田が強大な力の入手を目論んで、解放するに至った鬼八の一族の怨念を身に受けたのは、身を挺して高耶をかばった義明だった。
負の念に過去の罪業を引きずり出された少年は、自閉状態になってしまい、その身体は毒を放つものに変貌していた。
看病にあたる高耶は、覚醒したものの自傷に走ろうとする少年に、30年前に彼らの間で起こったことについて、苦しい告白をする。
「あれはオレの狂気が作った罠だった。
 おまえがどんなに苦しむかをわかっていての」
 彼の苦渋は、直江の中のもう一つの真実をも明らかにする。
「『あなたの手で堕ちてやろう』
 自分もまた…知っていた。
 心のどこかで知っていて、罪へと踏み込んだ」

 私たちは同じ罪を犯したのだ。

 苦しい自責の中で、二人は互いの心を重ねる。

 しかし毒のめぐる自分の身体に気付いた直江は、看護を受けていた山荘を抜け出し、織田方に囚われてしまう。
 伊達小次郎の身を通じて、信長は直江へと芽生えた興味を口にし、その毒を制御する術を見つけてからお前を臣とし、景虎に向けて放ってやると嗤う。

 囚われの身の直江は、自身の内側に在る鬼八の念と相対し、孤独な戦いを始める。


    とぅーびーこんてぃにゅー!(・o・) →やっ、たぶん。










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