朝顔





「誕生日、おめでとうございます。」
そういって、直江が差し出したのは、みずみずしい青を湛えた朝顔だった・・・。



――5月のとある日、まだ自分の誕生日も終わったばかりだってのに、そわそわしている直江に、思わず釘を刺してしまった…。

『俺の誕生日、やたら高価なモンとか、デカイ薔薇の花束とか、いらねぇからな!
 っつか、持ってきたら、口きいてやんねーぞ!』
『高耶さん…っ!』

まるで、捨て犬みたいな顔をしてたっけ。一瞬、仏心なんぞ出しそうになったけど…。
イヤイヤ!今年こそビシッとだな、あいつの浪費癖をだな・・・。
ってか、自分の誕生日の時には『貴方以外何もいりません』とかクソ恥ずかしいセリフ言う癖にな!
俺だって、おんなじなんだけど・・・。

って、おい、オレ!何オトメな事考えてんだっ!

――そんなコトを考えながらバイトに出かける準備をしてたら玄関のベルが突然の来訪者を告げた。

ピンポーン

「おにいちゃ〜ん!直江さんよ!早く早く!」
「って、直江と待ち合わせてんの、夕方じゃ…」

「高耶さん、朝早くから、すみません。これだけ、渡したくて…」
「……直江、それ…」
「誕生日、おめでとうございます。」
「……青の朝顔…?」
「実家の母から種を貰って育てました。毎日、毎日、貴方の事を思いながら…。
 お好きでしたでしょう?」
「…ありがとう。まだ覚えてくれてたんだ……。」
「ええ…。貴方の事は、何もかも…。」

 うわ〜。なんちゅう恥ずかしい奴っ!
・・・でも、嬉しいとか思ちゃうオレも相当ヤキが回ってるよな…。

「…うれしい。直江…。」

真っ直ぐに目を見て気持ちを伝えると直江がすっげえ嬉しそうに笑った。


「・・・ゴホン!」
「えっ!うわっ!美弥っ!」
「…お取り込み中なんだけど、お兄ちゃん?時間、ダイジョブ?」
「うわっ!ワリィ直江!時間ねえっ!」
「あ、高耶さん、車で送ります!」

バタバタバタ

慌てて用意をして玄関に戻る。

「…直江さん、折角来てくれたのにゴメンね?
 まぁ、今夜はお兄ちゃん返さなくていいから〜!」
「…っ!」

ちょっと待て!美弥!何を勝手に!

「ありがとうございます。じゃあ、今夜はお兄さんをお借りしますね。」
「ふつつかな兄ですが…」
「み〜や〜っ!」

なんだなんだ!そのセリフは!

「じゃあ、高耶さん、急ぎましょう?」
「お…、おうっ!じゃ、美弥、行ってくる」
「はいはい!じゃあ、お兄ちゃん!誕生日おめでと!」


あ〜、明日、うち帰り辛いかも・・・。



かよさん作の夜編へ飛ぶ





小菅です。ちょっと妄想が弾んで駄文書いてみました。
高耶さん、誕生日おめでとうございます。
 2008/07
(こすげさんコメント)


・・・今年七月のこすげさん宅のtopを飾っていたイラストと短文です
これの夜編読みたいよね〜なんて思っていたら
果報は寝て待て(なんか違う?)
かよさんちでキリバン踏んだのを幸い、かよさんのあたためていた続きをもらっちゃいました。

それでは、引き続き、かよさん筆による艶っぽい続きへどうぞ〜♪





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