「あああっ!」 突然、声が跳ねた。 悲鳴のように一声啼いて、高耶は、また激しくシーツに顔をこすり付ける。まるでむずかる子どもみたいに。 そんな仕草がいとけなくて思わず抱き起こそうと手を伸ばしたのと、彼が顔を上げたのが同時。 「……なお………たすけて……」 間近に見交わす表情は切なげに歪んでいて。 絶え絶えに呼びかけられて、心臓が跳ね上がった。 「……オレん中…で、リリリ…、リリリて……。も…オレ……ヘン……だっ」 腕を突っ張って上体を起こし、涙をいっぱいに溜めて、舌足らずに訴える。 こんなに傍に寄り添っていてもそれらしき音は聞こえないけれど。 きっと高耶は、体内で発する珠の振動を鈴の音として認識しているのだろう。 もう彼は限界なのだ。 あんなに可愛らしい小さな珠に翻弄されて、身も世もなくすすり泣いている。 それは嗜虐を誘うたまらなく耽美な眺めだった。 飛び切りの優しい口調で囁いた。 「……高耶さんはどうしたいの?……このイタズラな珠はもう取っちゃいましょうか? それとも、もっと奥まで入れてみる?今度は指じゃない俺のモノで、もう一度、ぐぐっと押し込んでほしい?」 卑猥な問いかけに、一瞬大きく見開かれる瞳。 けれど、追い詰められた身体の熱を散らすには他に手段などありえない。 観念したように目を瞑り、可哀想に、彼はこっくり頷いた。 魔法のように彼の喉から声が零れる。あられもなく強請る言葉が。 もっと、奥まで。 もっと深く。衝いて、擦って。 もっともっと、滅茶苦茶にして――― 望むように抱いて、彼を満たして。 艶めいた悲鳴とともに彼はとめどなく白濁を溢れさす。 身の裡に、秘めやかな鈴の音を響かせながら。 その妙なる楽の音を、今は男も味わっている。 高耶の中で、直接。そして、耳から。自在に彼を啼かせては幾つもの和音を紡いで。 一時の別離がもたらした饗宴は果てることなく。 ふたりの日々の中でもひときわ鮮やかな花押の捺された夜になった。 |