彼に似合う白

―2―




鮮やかな瑠璃。
つややかな真珠。
淡くぼかした砥粉色。

自ら選んで纏わせた色彩を、今度は手ずからひとつひとつ脱ぎ落としていく、密やかな悦び。

最後に残るは彼自身の彩。

あでやかな漆黒。滑らかな象牙。
透ける静脈の青。
朱鷺色の蕾。
噛みしめられ血の色を浮かせて喘ぐ、緋色の口唇。
濡れて閃く舌先の蘇芳。
しがみつく指の、更に色を喪した白磁の爪。


せがまれるまま椋鳥に交わり、松葉崩しに繋がって。
互いに貪りあいながら垣間見る、真晧い法悦。
もろともに堕ちていく。
歓びの真紅の褥の中、翠みがかった白濁を散らして。


荒ぐ呼吸が落ち着くまで、しめった肌をあわせていた。
やがて胸の鼓動も収まって、そろそろ頃合かと、離しかけた身体を引きとめられた。
もう少し、このままで、と。
伺うように覗き込んだ直江に、高耶は、どこか茫洋とした満ち足りた貌で微笑みかけて、すぐにその瞳を閉ざしてしまう。

沈黙の長さに、眠り込んだのかと思った時、再び、彼が呟いた。


こちらの世界は闇が薄い、と。

直江の胸にもたれたまま、くぐもった声で。
寝物語を聞かせるように。

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手持ちの色彩辞典をフル活用(笑)
でもこの世で一番キレイだと思うのは朝日に輝く露の七色…。

白状しますと、このページは最初は予定にありませんでした。
すぐに寝物語に飛ぶつもりだったのに、
ヘンなところで切るな!さっさと(エロの)続き書いてーなっ!!(なぜか関西弁)という”天の声”が…(笑)
泥縄でのエロ(もどき)お粗末さまでした<(_ _)>…… え?ますますヘンなところで切れちゃいましたか?



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