恋情
-6-




彼の潔さは、時に諸刃の刃になる。
自らの言質に縛られた彼は、ただこちらの為すがまま。 処女のように恥じらいながら懸命に慣れぬ愛撫を受け止めて、それがますます雄の優性に火をつけた。


「そう、キスするときは鼻で息を継ぐんですよ……そう、その調子」
ともすれば呼吸をするのを忘れる高耶が苦しげに身を捩るのを束の間解放して囁いて。
従順さを試すように再び唇を重ねれば、喉奥で鳴るくぐもった音。洩れ出る息。固く目を瞑って唇を戦慄かせる蠱惑的なその表情。
本当にこれが無意識の仕草なのだとしたら、彼は天性の誘惑者だ。何もかもが直江を煽り立ててくる。
歯列を割り、舌を絡め、口蓋をなぞり上げて性感を刺激する。 次第に紅潮し汗ばむ肌と乱れる息に彼の昂まりを見て取って、ほくそえみながらシャツの下に片手を潜り込ませた。

「……女の子のココはね、柔らかくてとっても触り心地がいいけれど、強く揉んだりするのは禁物ですよ? あくまで優しくそよぐように……ね」
言いながらまさぐる彼の胸だって滑らかで張りがあってとても心地いい。 つんとたった尖りを掌に感じて、ことさら楽しんで転がした。
「……そうやって感じてくるとね。もっと弄って、て、ねだるみたいに乳首の部分だけがきゅって固くなるんですが……、 ふふ、高耶さんのも勃ってますね。気持ちいいの?」
解りきったことをわざわざ訊かれて、彼は、涙目のまま必死の風情で首を振る。
「そう?ほんとに?じゃ、こちらはどうでしょうね」
「あっ!」
うろたえる彼にはかまわずボトムと下着とをずり下げると、嵩の増した彼のオスが待ちかねたように飛びだした。
「ほーら、やっぱりこんなにしてた」
勝ち誇った声音で告げられて、真っ赤になる高耶が可愛くてたまらなかった。

「こっちの坊やもまだ他人に触れられたことはないんでしょうね。私が触ってみてもいい? きっと自分でするのとは全然違う快感が味わえますよ。一度試しておくといい」
これも経験ですからね、と嘯いて、止めだてする暇も与えず彼のオスを包み取る。緩く上下に扱くだけで若々しいオスはぴんと張り詰め蜜を零した。

「やっ、あぁ…っ!」
当然のこと彼は制止の声をあげたけれど、それはひどく弱々しくて。むしろ劣情をそそるものでしかなかった。
己の欲望を他人に委ねることの羞恥と過ぎる悦楽。 心に秘めておきたいものを無理やりに引きずり出されて彼は泣き出しそうに顔を歪めている。それでいて弄うこの手を振り払うことも出来ないのだ。
まったく心を暴かれているのは自分の方だと直江は思う。 こんな姿を目の前に曝されては思うさま嬲りたいという嗜虐の欲望が湧きあがって、制御がきかない。

「本当に……あなたは可愛い」

そう、可愛すぎるあなたがいけない。
ぎりぎりまで高められてはすんでのところでかわされることを繰り返されて。
抗う気力も失せ息も絶え絶えの高耶に、直江は笑いながら囁いた。





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気分はすっかりエロオヤジ(笑)
タガが外れる振る舞いも直江にとってはシアワセの極致だろうなあ…と
らぶらぶのあまあまとはまた別の意味で(^_^;)



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